宮本茂さん語録

任天堂の宮本茂さんの記事リンクをまとめておく。

Business Media 誠:“よくできたゲーム”と“面白いゲーム”の違いとは?――マリオの父、宮本茂氏の設計哲学(前編)
Business Media 誠:遊んでいる姿が楽しそうなのが大事――マリオの父、宮本茂氏の設計哲学(後編)
宮本茂さん自信が、経歴から日々考えていることまでを語っている記事。

よく、ゲームを考える時に「ターゲットは?」とか聞かれますよね。困るんですよね。ターゲットというのはあまり設定したことがないんです。「漢字が読める人しか遊べないのでこれでいいという考えで、ルビを付けるかどうかを決める」といった場合には必要なのですが、ターゲットってあまり考えたことがなくて、「いや、多いほどいいですよ」ということなんですよね。

周りにあるゲームに勝つものを作るのも大変なんです。しかし、周りのゲームを超えようということにエネルギーをかけるよりは、自分独自のものを無理に何とか形にする方にエネルギーをかけようとした方が効率的なんです。そういう風に考えて作っていると結構楽しいし、その楽しい状態になるといろんな国のことを考えたりする必要もないので、「自分たちが素直に面白いと思えるか」ということだけで作りますね。

宮本茂さん、『Wii Fit』などを語る。
ほぼ日での糸井重里さんとの対談

だから、これは極端な例ですけれども、もしも、
ゲームがいつまでたってもまとまらないときは、
「タイトル画面をつくれ」って言うんですよ。
で、タイトル画面をつくると、そのつぎは
「『1人用、2人用』って出てくるの?」って
質問できるようになるじゃないですか。
「いや、出てこないですね」ってなったら、
そういうふうにすればいいわけで、
「じゃあ、つぎはなにが出てくるの?」
って訊いていくと、流れやフローチャートが
どんどんできていきますからね。
それは、自分に対しても、やるんです。
そういうふうにしていくと、
自分の残りの仕事が見えるようになりますから。

だから、ぼくはよく若いスタッフに、
自分のやり方をこう解説するんです。
まず、ネガティブな問題をぜんぶ挙げて、
理屈で固めてつくる。
でも、最後は、理屈を度外視して決める。
・・・
だから、理論は一貫はしないし、
ぎりぎりのところでなにかが生まれたりするけど、
そういうふうに進める以外になくて。

社長の代わりに糸井重里さんが訊く「スーパーマリオ25周年」

動いてて、「ダメな理由」が自分のなかで
ずーっと、引っ掛かり続けてるんです。
だから、あるとき、「あっ、このラベル剥がせる」ってわかる。
で、そのラベルを剥がせる勢いがそのときあったら、
一気に盛り上がって他のラベルも剥がせたり、
多少あったネガティブなところも
ぜんぜん影響しなくなるんですよ。

あと、企画書は紙1枚でいいって、
ずーっと言ってるんです。
・・・
けっきょく、プレゼンで無駄な努力をしてるという話ですよね。
あの、広告代理店的なプレゼンっていうのを
どっかで習うのか、憧れるのかわからないですけど、
スポンサーにお金を出してもらうためにやってるプレゼンと、
つくるものを相手に説明するためのプレゼンは違うんですけど、
それを、ごっちゃにして考えてる人が多くて。
形を整えるっていうことをやりはじめると、
どんどんそこにエネルギーがかかっていくから。

やっぱり、つくりながらテストをして
崩したり、整えたりしていけるというのが
ゲームというもののすごくいいところで。
だから、ぼくの場合、クリエイティブの
ほんとに大事な部分の半分以上は、
つくり始めてから考えてるかもわからない(笑)。

『マリオ』『ゼルダ』シリーズの生みの親 ゲームクリエイター・宮本茂インタビュー【前編】
『マリオ』『ゼルダ』シリーズの生みの親 ゲームクリエイター・宮本茂インタビュー【後編】

今回の『スーパーマリオ 3Dランド』はわりと良いペースで仕事ができて、開発期間は2年弱くらい。開発序盤は5人、終盤は30人くらいで作りました」

に対して驚きの声多数
その開発の様子は、宮本さんも交えてのインタビュー記事:
ニンテンドー3DS|社長が訊く『スーパーマリオ 3Dランド』|Nintendo
に書かれている。

アイデアってのは、結果的に何かに成功した、原点になったものがアイデアなわけで、出て来た瞬間に「これはアイデアだっ!」ってものじゃないでしょう。自分に命題があって、それを考え続けるからこそ解けるものなんだと思います

質問9 宮本さんが考える、ゲームクリエイターに必要な要素ってなんですか?
「やっぱりね。せっかち。ダメって言われても早くやってみたい、って人。“したいと思ってるんですよ?”って人はダメなんですよ。思ったら朝まで作ってしまいました、みたいな人がいい。せっかちで、ものすごい集中力があって。あと負けず嫌いも大事です。このままこのゲームを世に出すのは恥ずかしいって思える人」

後編でキャプチャがあるけど、スカイウォードソードのアイテム展開のUIは個人的に良かった。

任天堂岩田社長と糸井重里さん達ほぼ日スタッフとの話も面白い。

でも、ときどき、たったひとつのことをすると、
あっちもよくなって、こっちもよくなって、
さらに予想もしなかった問題まで解決する、
というときがあるんですよ。

ゲーム機の電源を入れてもらうために。 – ほぼ日刊イトイ新聞
2012年末の岩田聡社長、宮本茂さん、糸井重里さんの3人の対談

以前、山内さんがおっしゃったことばに
「一強皆弱」論っていうのがあって、
「娯楽の世界は秀でたものが
 独占するんだ」っていう話なんですけど、
山内さんがそれを持論として言ったときに、
傲慢な思想だとも言われたんですよ。
でも、山内さんが言ってる「一強皆弱」っていうのは、
市場を独占するとかそういうことじゃなくて、
「ほかが思いつかない無二なものをつくって、
 それが勝ってしまったら、
 ほかは追いつけない」っていうことなんですよ。
つまり、娯楽の世界というのは、
「一強皆弱」になってしまう構造なんです。
・・・
だからこそ、やっぱり、
よそにない新しいことが重要なんですよね。
それがないと、古いものを外せないので。
ハードの技術を直線的に積み上げているだけだと、
こわくて、ぜんぶ、盛っていくしかないんですよ。

つくり手に共感することもあれば、
シチュエーションに共感することもあって、
いろんな共感があると思うんですけど、
それがあるからこそ、入っていけるんですよね。
・・・
ゲームに代表されるインタラクティブなものって、
自分で参加して働きかけていくわけですから、
その対象と、自分に距離を感じてしまうと、
バカバカしくてやってられないですよね。
逆に、その距離が近いほど、参加しやすくて、
自分に刺さるものが多い。
同じものに接していても、
引き込まれている人にはそれがすごく響いて、
逆に、引いてる人は、他人事のように思える。
それはやっぱり「共感」が得られているかどうかで。
自分が人のものを評価しているときと、
いまいちピンときてないときの差って、
けっきょくぜんぶ、それ違うかなと思うんです。
・・・
そうすると、共感してくれそうな人と
なかなか共感してくれない人と、当然いるわけで、
共感してくれない人にまで共感してもらうものを
どこまで追い求めてつくるべきか、迷うんですよね。
ただ、共感をしてもらうようにつくるには
やっぱり、自分がよく考えるとか、
自分が実際に感じてることを通して
ものをつくらないとダメですよね。

『ピクミン』のようなゲームを見ると、
キャラクターからイメージが浮かぶのかとか、
ビジュアルイメージから考えるのか、
っていうふうに思われる人が多いんですけど、
宮本さんは仕組みから考えているんですよね。

MOTHER 3
こちらも岩田さん、宮本さん、糸井さんの対談。2000年にMOTHER3が開発中止になった件について。

ただ、一般に多いのは、
ゲームを遊んで育ってきた子たちは
とくにそうなんですけれど、
枝葉の部分を一所懸命つくりたがるので
枝葉の部分だけがどんどんでき上がっていく。
それを僕のような手法でまとめるのか、
それとも骨組みをうまく作る人の手によって
まとめるのかはわからないけど
その手法が固まっていない状態で
どんどん枝葉を作っていく。
すると、その枝葉をつくることに
いちばんのコストがかかるんです。
そしてエネルギーも消耗する。

岩田:
たしかにね、ファミコンの創世記って
1本を2ヶ月くらいでつくっていて
1年に何回も商品の完成を経験できていたのに、
マザーをやっていた人間の中には、
入社後4年も経っているのに、
1回も完成を経験してない、
なんて人がいたんですね。
本当にその当人には申し訳ないと思っているんですが、
この差ってものすごく大きくて、
深刻なんですよ。
完成して初めてお客さんと
キャッチボールなんですよ。
だから、「労働を減らす」って
すっごい重要なテーマなんですよね。

『鉄拳』だって登場キャラクターを
20人以上も作るから、たいへんなわけで、
5人くらいにしておけばいいんですよ。
あそこらへんも10人かからないと思うんですよ。
けっこうそういう商品も、あると思う。
で、「おっと驚く」ものをつくるのに
何人くらい必要かと言えば、
「おっと驚く」くらいなら3人くらいでいいわけで。
あと、いまは(ゲーム機が)
家庭の据え置き型である意味がどれだけあるか、
ってことで、
据え置き型で作っても、
ハンディーに対応できるようにしたらいいし。
でも、(ハンディーにしてしまうと)
据え置き型でチャチなものを
作ることになってしまうかもわからないけど(笑)。
それくらいシンプルな構造のものの方が
いろんなことに対応できますね。

社長が訊く『New スーパーマリオブラザーズ Wii』
マリオ誕生のエピソードから、Wiiマリオの初心者救済の仕立てに関する思いなど。

そもそもゲームというのは
自分と同じ速度で動くモノが後ろからついてくるのと、
自分よりちょっと遅いモノが後ろからついてくるのと、
自分よりちょっと速いモノが後ろからついてくるのでは
ぜんぜん面白さが違うんですよね。
そういうことをいろいろ繰り返し見てきていましたから、
自分がとても欲しいモノが
ちょっと遅い速度で逃げていくというのは、
絶対に面白いと思ったんです。

でも、企画書に書いていたわけじゃないんです。
つくりながら考えるんです。
けど、幸いそういう状況になって・・・。

自分があるときは観客になったり、
あるときは遊び手の立場で考えて
試行錯誤を繰り返しながらつくるようにしています。

そこで、8回ミスをすると、
ヒントブロックが出てくるようにしました。
でも、ここが不思議なもので、8回で出るとなると
「オレは1個も出したくない」と思うんですよ、僕は。

がんばった人には、タイトル画面で
“ヒントブロックを出してない勲章”というのが
わかるようにしました。

2013年7月追記
宮本茂はどういうふうに構造をつくっていくのか。 – 樹の上の秘密基地 – ほぼ日刊イトイ新聞
WiiU用ピクミン3発売特集インタビュー

やっぱり、いろんな条件で
ものが組み上がっていくと、
あることの結果が、どう有機的に組み合わさるかって
予想がつかないですよね。
そういう「おもしろいかどうかわからない」ことを
つくって確認する。
ぼくは「実験」って呼んでて、
それを試すことを推奨してます。

ええ、最初の基本構造は、
ちょっとまとめてつくってみたし、
そのあとはそうやって試してたんです。
で、それをくり返すなかで、
予想していた以上のおもしろさが生まれたら
すごくうれしいわけですよ。
そういった実験とか挑戦が
『ピクミン3』ではうまくできたような気がします。
ふつうは、準備した材料が多すぎて、
こんなにきちんと試しきれないんですよ。
複雑すぎて、試したけれど、
結果がよくわからない、となることが多くて。

だから、『ピクミン3』は、印象でいうと、
「足りなかったらつくろう」
ぐらいのペースでつくっていったんです。

(※僕注:世間一般の)会社の組織とかもちょっと似たところがあって。

あとから「もうちょっとほしい」って言うのは
ちょっとした禁句みたいになっていて、
「必要になるなら最初に言っとけ」
っていう仕組みなんですよね、
いまの一般的な会社の組織自体が。

ええ。これなかったらさみしいでしょ、って、
みんながいろいろ持ち寄ってくるわけで。
そうすると複雑になるし、骨組みは見えなくなるし、
もう、室町時代の人には、
おもしろさがわからなくなるっていう(笑)。

途中で新しく材料が必要になったりすると、
だいたい「ずさんだ」とか言われて。

釣れないとイヤですけど、
でも、隣の人が1匹釣ったら、
それでもう、OKですよね。
「あ、釣れんねや」っていうことを
見せられるだけで、ずっと遊べる。

で、「ほらね」って。
「過剰でしょ?」っていうことになる。
やっぱり、心配なので、つくるほうは
いっぱい考えてしまうんですよ。
でも、アイディアとスケッチを増やすだけだと、
おもしろいかどうかがどんどんわからなくなるんです。
わからないと、またカードを増やす‥‥。

まぁ、でも、だいたいの感じでいうと、
3割余るくらいがちょうどいいんです。